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今宵のDVD 『タンポポ』

先日、レンタルで「タンポポ」のDVDを借りてきて鑑賞した。

タンポポは古い映画で公開が1985年だから、約30年前という事になる。
それでも見ていて、フィルムの色は別にして、作品に古さを感じないいい映画だったと思う。

この映画を語る際には、やはり多少のネタバレを含まざるを得ない。
これから鑑賞しようとする人で多少のネタバレも嫌な方は、一度映画を見てからもう一度ここへ足を運んでいただけると大変嬉しく思います。

では本題
この映画は、脚本・監督の伊丹十三氏が「ラーメン・ウエスタン」と称したように、西部劇の作りを意識した作品である。
西部劇が好きな人とか、昔良く見たという人には、ストーリーだけではなく、アングルやカメラワークなども西部劇を意識したという事が分かってもらえると思う。
私は父が西部劇が好きだった事もあって、テレビでよく西部劇を見ていたので、懐かしいような、嬉しいような面白さを感じた。

ストーリーを簡単に言えば、人気のない一軒のラーメン屋さんを繁盛させる為に主人公達が奮闘するという、今となればありふれた物語なのかもしれないが、実はそれだけでは語れない映画である。
この物語はラーメン屋を盛りたてようとする主人公達の話が主軸ではあるのだが、3つの違った主観を持った幾つもの物語が微妙に意味合いを絡ませながらオムニバスのように展開されていく。
一見すると何も関係のない話のように思えるのだが微妙に主軸との共通点を持っているのだ。

1つは「食」
あらゆるストーリーに食べ物が関わってくる。
非常に美味しそうな話もあれば、少し切ない話もあり、微笑ましい話もある。
この話は30年も前に作られた作品なのだが、今ではそれ程ではないが当時はさぞ斬新だったであろうと思われる描写もあり見応えがある。 まるで人生は食無しでは語れないと言わんばかりに映画中を食べ物が駆け巡るのだ。
食べ物好きな私にとっては嬉しい映画だ。

2つめは「人間ドラマ」
映画を通してオムニバス形式で、何の絡みもない複数の人間ドラマが展開される。
これらが主軸と、いつ、どこで接点を持つのかと思って見ていても、殆どそれが見当たらない・・・・
この回収されないフラグがこの作品の持ち味となっている。
幾人もの人間ドラマを見せる事で、主人公達の人生が決して綺麗で恰好のいいものではない、泥臭く共感の出来るドラマなのだと思わせているのだ。

3つ目は「エロ」
エロとはちょっとドキっとするエッチなシーンの事であってAVのような大胆な表現のものではない。
それが全てではないが一部のストーリーにエロが展開されるのである。
成熟した女性の大人のエロ、まだ若い蕾が性へと目覚めていく少女のエロ・・・どちらも官能的なエロなのである。
勿論、主人公達にもエロがある。
しかし、こちらのエロは打って変わって、頬が赤らむような純情なエロなのである。
官能的なエロと純情なエロを対比させる事により、人間ドラマで泥臭くなりかけた主人公達をもう一度綺麗なステージへと押し上げていく。

食に人間ドラマが絡み、人間ドラマにエロが絡み、エロに食が絡む・・・このように一見何の関連も無さそうに見える幾つものオムニバスが、実は微妙に絡まりあいながら螺旋を描くように印象操作の役を担いながら、主人公達の主軸のストーリーを盛りたてていくという、非常に考えられ工夫されて作られた映画である。

この映画はコメディー映画にジャンル分けされているのだが、映画好きな人がコメディーだと思って気軽に見始めてしまうと、伊丹十三監督の仕掛けた作品の迷宮の中に迷い込まされる事になる。
見ている途中で、この作品がまったくコメディー映画ではない事に気づかされ、そしてそれに気づかされた途端に映画の中から何かを見つけ出そうと一つ一つのシーンを深堀しようとする。 それこそが正にこの映画の迷宮であり、映画好きには心地よい仕打ちなのだ。

そして、表層的な映画を装いながら、見る人を翻弄し、作品はラストシーンを迎える事となる。
私は個人的には最後のシーン(ラスト直前のシーン)が非常に好きだと思った。
ネタばれになるので詳しくは書かないが、カメラワークや台詞が非常によく西部劇を彷彿とさせる。
この作品の中で一番強く西部劇を意識させるのがこのラストなのではないかと思う。
このラストを見る為だけにでも、もう一度見たいと思わせる映画である。


・・・・と、十分作品を褒めたところで、そろそろ書いてもいいだろうか。

まぁ、映画そのものは面白いし、まるっきりの余談なのだが・・・
という前提でここから先は読んでほしい

この映画
ラーメンの映画なのだが・・・・
肝心のラーメンが私には美味しそうには見えないのだ
ひょっとして、監督は特にラーメンに思い入れがある訳じゃないのではないだろうか
ラーメンの映画が取りたかった訳ではなく、映画の題材として、たまたまラーメンであっただけではないだろうか
そんな風に思ってしまった
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